LIVE REPORT

<DaisyBar 19th anniversary ~Keen on Boys~>

4/16(Tue)

KALMA / オレンジスパイニクラブ【TWO MAN】

この日は、DaisyBar19周年のAnniversary月間と言う事で、KALMAとオレンジスパイニクラブの2マン!。多くのリスナーが待ち望んでいた2マンが、ここDaisyBarで実現。その期待の大きさを反映してチケットも高倍率。勿論ソールドアウト。開演前には、オーディエンスでDaisyBarのフロアーも言葉通り埋め尽くされ、フルハウスの超満員。まず先手で登場、KALMA。一気にDaisyBar全体をうねらせる3ピースのバンドサウンド。彼等のパフォーマンスから発せられる全肯定感に圧倒された。それは自身に対してもそうだし、オーディエンスに対してもそう。ロックンロールって何かに対してしっかりと「NO」を突きつけるモノでもあると思う。そして、それと同時に、他者や世界を肯定して行くことこそが、ラディカルであり、ロックンロールでもある。彼等のLIVEを観ていたら、ふとビートルズのジョンレノンとオノヨーコの出会いのエピソードを思い出した。ここにそのエピソードを書くスペースないので、是非どっかでチェックを。簡単に言ってしまうと、答えは勿論「yes」(©真心ブラザーズ)という事。ポジティヴなメッセージを発するバンドも多いけれど、その根底に被害者意識が見え隠れしてしまう事も多い。しかしKALMAのパフォーマンスにはそれがない。若さとは弱さと同時に強さや残酷さも持ち供えているものでもあるし、傷つきながらも傷つける。そこから逃れられない。人間は矛盾するけれど、そんな自分をそしてあなたを、一度全部肯定してみる。そこからでないと始まらない。しっかりと根底でそれを理解しているバンド。満員のフロアーをかき分けてオーディエンスとバンドがぶつかり合った先に小さく「yes」と書かれてる。そんな感覚を持たされるパフォーマンスだった(まったくレポートになってないかも)。そして後手、オレンジスパイニクラブ。前回、昨年8月のammoとの2マン以来のDaisyBar。個人的にもそれ以来のオレンジスパイニクラブ。その時から一気にライブバンドとして急成長しているのを感じた。昨年出演以来ツアーを重ねたりしていて、それがしっかりと結実しているように思う。彼等がステージに立っているとき、どこか所在なさげにもみえてしまう時がある。今回、そうした「間」にも余裕というか、貫禄も感じられる様になっていた。考えてみるとオレンジスパイニクラブというバンドは、今の日本のポップミュージックシーンに於いて、様々な繋がりもあるけれど、かなり独自の「点」である様にも思う。それは彼等の一つのジャンルに括れない多彩さにもあると思うし、また外の景色とは別の次元で、シンプルに良い曲を書いて、演奏しているとう事なんだとも思う。人間や自分のどうしようもなさ、わかってはいるけどダメな部分を切り取り、ポップ、ロックンロールに昇華させる。そこにあるのはやはり、人間の割り切れない感情のへの優しい視線、肯定でもある。彼等が貫禄を身につけて来た様に感じたのは、そうして生み出された楽曲がしっかりとオーディエンスに届いているという事を以前より実感できているからでないだろうか。この日も後半はパンクロックナンバーで一気にフロアーを加速させて、熱を一気に上げてDaisyBarの19周年をガッツリお祝いし、盛り上げてくれた。そして、2バンドによるパフォーマンスは、フロアに自由さをあたえてくれていた。終演後、会場一杯に笑顔が溢れていたことが、この一夜が素晴らしい時間だったこと物語っていた。(加)