<Pump It Up>
5/25(Thu)
ちゃくら / FlipHigh(フリップハイ) / PriPri Hip the Movie / なち
この日は、音楽的にも形態的にも多様な4組の顔合わせ。まずトップは、なち。ソロ弾き語り。前回の登場時はまだライブ経験も浅かった為、拙く感じていた所もあったが、この数ヶ月でしっかり貫禄を付け、シンガーソングライターというよりも、ロックボーカリスト的な雰囲気。ロックテイストの楽曲が、そのハスキーな声で紡ぎ出され、しっかりと存在感を示していた。そして二番手はFlipHigh(フリップハイ)。女性二人組のユニット。自身で作ったバックトラックを流しながら、二人が唄うスタイル。ラップもあったり、バックトラックのリズムなども、打ち込みならではの多様さでカラフル。今のライブハウスで、ジャンル分けされ難い所もあるかと思うけれど、現在進行形の欧米のヒットチャートやK-POPなど、今の世界の音楽としっかりリンクしている。今の音楽を聴いていたらこういう表現になるのも必然。様々な垣根をとっぱらって、ライブハウスのオーディエンスにも、そうした彼女達の音がしっかり届き始めているというのを実感させる、そんなパフォーマンスだった。そして三番手は、PriPri Hip the Movie。こちらは、ボーカル、サックス、キーボード、ギター、そしてリズム隊という6人組。スティービーワンダーや、カーティスメイフィールドなどにも通じるリズムアンドブルースやファンクなサウンドもありつつ、ジャズのテイストも入ってきて、映画BLUE GIANTばりのサックスのうねりもあり。そして唄声が乗りはじめれば70年代の日本の歌謡曲のような雰囲気もあったり。と、こちらもまた時代やジャンルを超えるGROOVE。その彩りあるサウンドでしっかり会場全体を盛り上げてくれた。そしてトリはちゃくら。4人組ガールズバンド。昨年ネットに上がってた「海月」をたまたま聴いて、一瞬で耳を持ってゆかれ、DaisyBar出て欲しいなと思い、即ブッキングお誘い。音源を聴いたその翌月、12月に即出演決定しDaisyBar初出演。オファー時点でまだライブ経験無く、そのDaisyBarの12月のライブが二度目のライブだったとのこと。技術云々抜きに、その当たって砕けろ、取り敢えずやっちゃえ精神が非常にパンクでロックでカッコよかった。そしてその曲のポップさと、彼女達のキャラクターにすっかりやられて、そこから、なんだかんだでほぼ毎月DaisyBar出演。音源を初めて聴いたタイミングでは、そんなに目立った再生数ではなかったMVも、12月にDaisyBarに初出演のタイミングでは、あれよあれよという間に再生数もかなり上がっていてた。しかし、そうしたネット上での動きに、全体重を乗せるのではなく、その活動の主体は、あくまでライブであり、ライブハウス。毎週何本もライブを行い、ライブでバンドの実力を高めている。この日も新曲あったりと、新しいチャレンジも取り込んでいた。更にアンコールでは曲を用意してなかったという事で、この日演奏した楽曲の中から候補曲二曲選出して、拍手による投票制で、「19才」に決定。同じ曲2回やる、ってのも彼女達ぽい。彼女達と話をしていると、会話や頭の回転の速さやに驚かされたりするけれど、それと同時に(本人達はどうおもっているかはわからにけれど)ひと昔前のロックバンドと話している様な、ロック的思考を感じることもあってそれもカッコイイ。リアルな現状認識と、そこを突き抜ける、どうにかなるっしょ的な楽観主義が混在し、ライブもグッときつつ、最終的に楽しい。まさにそうした彼女達の魅力をしっかりと見せたライブだった。誰よりも早く良い席で良い景色をみたいと言う気持ちもわかるし、そこを飛躍させるのがポップであり、ロックンロールだけれど、そう言った思考だけでは絶対にそこには辿り付けないことを理解した者が、その景色を見ることができるんだろうな、と実感する。理屈でなく行動。この日様々な音楽性、形態のバンドが出演していたけれど、NewJeansやYOASOBIが欧米やアジアのチャートで盛り上がりを見せる昨今、この日のDaisyBarのステージも余裕で世界へと繋がっていると思える一夜だった。(加)