LIVE REPORT

<ヒロ企画”嘘が本当になる日 vol.10″>

12/19(Tue)

太平洋不知火楽団 / 小山田壮平 / オワリカラ / CAMISAMA / tomodati /
豊島”ペリー来航”渉(バックドロップシンデレラ) / SEBASTIAN X

この企画の事を書く時、やはりヒロの事を皆に説明しないとな、と思うのだけど、でも、彼の企画と言う事で、この日もこれだけ錚々たるメンツが揃う訳なので、もう、それだけでよいのかな、とも思わなくなかったり。この企画は、元々そのヒロという男が始めた企画。この「嘘が本当になる日」という企画名での第2回目の企画をブッキングして、Timeテーブルまで組んでいたのに、その開催を待たずして亡くなってしまった。普段ライブハウス界隈で姿を見ないことがない彼が、姿を見せないという事で、どうしたんだろう、と、いう所から、彼の友人のバンドマン達がいろいろ手を尽くしてくれ、彼が亡くなっていたと言う事を知る事になった。その第2回の出演者の何人からも、当時連絡をも らい、そのイベントそのまま開催したい、と言う事も言ってくれたり。そこで、たまたまだったんだけど、当時ヒロはメールも使わない奴で、各出演者への連絡を彼に言われるがまま、代行していた事もあって、また生前に既にTimeテーブルも組んであったこともあり、その第2回はそのまま彼が残した形で行われた。この2回目、今回出演してくれているバンド(実際アコーステック、弾き語りのイベントだったので形態はそれぞれ違ってはいましたが)に加え、尾崎世界観や、竹原ピストル、日本松ひとみ、ネズミハナビ吉田諒、内藤重人、等々、超豪華な面々が出演していた。もう8年前とは言え、これだけのメンツを揃えられたのはヒロだからだ。そして、その後、何かのタイミングで太平洋不知火楽団がDaisyBarに出 演した時だったと記憶しているんだけど、笹口君から、ヒロ企画またやりましょう、と言う話をもらって、その時、あ、やりたいな、と思い、そこに乗っからせてもらって3回目を開催することに。この回は笹口君に任せきりではあったけれど、ヒロ企画をヒロがいない状況で、ヒロの名前を勝手に引き継いでやるのはどうなのかな、とも考えなくはなかったし、関わった方みんな、いろんな思いがあったとは思うけれど、結局死んだ人間がどう思うか分からないし、ヒロには世話になったけども世話もしてきたし、と言う事で、勝手ながら進めさせて頂いた。これもまたヒロだったからこそなのかも。その後、どう言う経緯だったかあまり記憶にないんだけど、DaisyBarで引き継ぐ様な形で、毎年ヒロ企画を行う様にな り、この日が10回目となった。かなり前置きが長くなってしまったけれど、この日もイベントスタートから超満員。毎回トップを務めてくれているCAMISAMA、毎年変化を重ねポップな3ピースバンドへとまた変化し、そうした実験を繰り返しながら変化する所含めCAMISAMAだったし、このシュールな空気感でヒロ企画のスタートを実感。2番手のバックドロップシンデレラ豊島”ペリー来航”渉、昨年につづきヒロが聴いたら好きになってくれるんでは無いかと言う曲を披露。弾き語りでもGroove感溢れる唄と演奏で、会場の空気を持って行った。そしてこちらも変化し続けるtomodati、今回はVJも加入、怒濤の電子音とラップと映像で会場を煽りまくり、空気を更にアッパーにしてくれた。次に登場したオワリカラは、新曲も爆発で キレキレで純粋にカッコよし!。ラストにアコースティックギターとキーボードで演奏された、ヒロの事もイメージして作ったという「light my tokyo」が印象的に響いた。そして昨年この企画で再始動を果たしたSEBASTIAN Xも、これでもかと言うくらいに会場を盛り上げまくる楽しいライブを展開。新曲もありで、当然だけど最前線、現役感バリバリだった。続いていよいよ登場は、今回が企画の10回目と言う事で、死にながらも生き返ってくれた太平洋不知火楽団。最初から最後までギュッと凝縮された、もう太平洋でしかない、以前と変わらぬ彼等だった。そしてトリは小山田壮平。ヒロの曲を歌った「クレイジークレイマー」。そして「sunrise&sunset」でグッと来る。MCで、人はその人を語る人がいる限りその人の中で生き続ける、と言った話をしていて、それがこの企画が続いている理由でもあると思う。アンコールでは笹口騒音を呼び込み、共に「1984」。そして更にダブルアンコールではヒロが生前残したオリジナル曲を、この 日の出演者で披露。「あーりがとー、さーよなーら、僕たちは永遠なんです。さーよなーら、あーりがとー僕たちは永遠なんです。」という、凄い歌詞をみなで繰り返す。演奏は、探り探りでしたが皆笑顔で、とても楽しそうだった。こうして長時間に渡るイベントも終了。毎回イベントタイトルに引っ張られるかの様にいろんな事が起こり、強力なエネルギーが渦巻くこの企画。今回もパワフルで感動的だった。「嘘が本当になる日」というイベントタイトル、あらためて素晴らしいな、と思った。(加)