<クリープハイプ
「心の中の第二次世界大戦ツアー」
ワンマンライブ>
9/26(Sun)
クリープハイプ
ボーカルの尾崎世界観が、この日のMCでも言っていたのだけれど、彼がDaisyBarのステージに初めて上がったのが、ちょうど5年前の9月だったとの事。もう5年も経つのか、と思うけれど、ホント彼の唄を生で聴いた時の衝撃と感動は今でも鮮明に覚えている。
その当時、なかなかメンバーが安定せず、弾き語りでの出演という事になったと記憶している。そこから早5年、彼が歌い続けて来たなかでは、ホントにいろんな事があった。彼の溢れ出る表現というか言葉というか物語に、バンドという形態がついて行けなくなっているのではないかと思う様な事もあって、傍から見ていて、もどかしく思う事もあった。 実際、これまで様々なメンバーで、また様々形態で、バンドだったり、アコースティックだったりで試行錯誤しながら歌い続けてきた彼を見ていると、彼自身が一番もどかしく思っていたのかもしれない。そして、その過程で、クリープハイプが尾崎世界観一人となった事は、ある意味開き直りの様で、彼自身の覚悟を感じたし、一つの答えだった気がする。そうした中で、昨年、新世界リチウムと共に作り上げたアルバム
「When I was young,I’d listen to the radio」は、その開き直りが良い意味で発揮された作品だったと思う。そして、その覚悟というか、決意の結果として今のメンバーが集まり、スタッフが集まり、今回の素晴らしいアルバムが出来たのだと思う。そして、この日のライブ は、チケット発売日に即日完売となった。それもアルバムの発売前に。ホントにこれは、凄い事だし、彼等の勢いをあらためて感じた出来事だった。そして、当日、クリープハイプの登場を待つ超満員のフロアを見て、ホントに更にそれを実感した。そしてこの日のライブはというと、これぞワンマンと言わんばかりに、一曲目リグレットから始まり畳みかけるように矢継ぎ早にドンドンと楽曲を披露して行く。そんな中で、それぞれの曲で、ホントそれぞれいろんな情景や思いが浮かんだりする。満員のお客さんのリアクションも 決して常に激しい訳では無いけれど、確実に届いている感じと、その熱がリアルに伝わってくる。終盤の激し目なナンバーでの盛り上がりもグッときたけれど、中盤から後半あたりに演奏された「最夜」のあの異次元というか、つげ義春の世界にでも迷い込む様なトリップ感と普遍的な世界は、個人的にこの日のクライマックスの一つだった。そして、本編終了後、アンコールに応えて登場した彼等は、良い意味で緊張感あった本編の雰囲気とは少し変わって、ラフな感じでそれもまた見ていて楽しかった。と、言う訳であっという間のワンマンだったけれど、終わってみれば本編だけでも20曲と、惜しみなく楽曲を披露してくれた。終演後満員のお客さん達の笑顔が凄く印象的で、5年前たった一人の弾き語りから始まり、5年かけてDaisyBarに出演し続けてくれて、こういう状況を見せてもらえるというのは、この仕事やっててよかったと思える瞬間だし、嬉しい事だ。それでもまだ、個人的には、あの曲やってない、この曲聴きたいとかあって、ホントまた早くワンマン観たいなーと思ってしまう。そして、この日のライブを観て、クリープハイプは本当の意味でバンドになったんだな、と、あらためて思った。そして、彼等の楽曲に、日常を生きる私たちの側らに常に普遍的にあり続ける、フォークロックやブルースみたいな感覚を強く感 じた。このワンマンは長く続くクリープハイプの物語の一つの点であると思うし、ここからまたクリープハイプの更に長い物語が始まるのだと思う。そして、クライマックスはまだまだ先にいくつもあるのだと思う。クリープハイプ、本当にありがとう。そしてこれからもまだまだ楽しみにしてます。(加)