LIVE REPORT

<BITTERS END>

10/28(Mon)

ブリキオーケストラ / The cold tommy / the knowlus / moll

この日は、ブリキオーケストラによる企画イベント。ブリキオーケストラ、元々3ピースバンドとして活動をスタート。DaisyBarのスケジュールを振り返ると2010年7月初登場。バンドの始動時期と同じタイミングでの出演だったかと記憶。その後メンバーチェンジなども経て、ここ数年は、ギター、ボーカルの多田羅中心の、メンバーを特定しないソロプロジェクトというか、ロックコレクティブと言った形態での活動が続いていた。そんな中、今年7月に正式メンバー加入し、あらためて3ピースバンドとして始動する事をアナウンス。この日は、3ピースバンド、ブリキオーケストラとしての自主企画開催となった。The cold tommy、moll、the knowlus。ブリキオーケストラが招いた3組は、彼等の十数年に渡る歴史の中で、ここDaisyBarで対バンしてきたバンド。ある意味原点回帰ともとれるし、3ピースバンドとしての再始動する事に関して強い意志を感じた。DaisyBarでもお馴染みのバンドではあるけれど、こうして一堂に会する事はなかなかない組合わせ。ブリキオーケストラでなければ出来なかったであろうJUSTな顔ぶれ。そこはお客さんも心得ていて月曜ではあるものの多くのお客さんがスタートからかけつけていた。まずトップを飾るのはmoll。彼等も紆余曲折ありつつ、昨年末よりベースボーカル、ドラムのツーピースのDUO体勢。オルタナティブロックを軸にしながらも様々な潮流の音楽を取り込んで来た彼等。二人になった事により、更に自由度を上げて、ヒップホップにEDM的な要素まで、ギターサウンドに捕らわれない挑戦的な楽曲やアレンジを展開。最新曲でライブを締め、彼等の現在地をしっかりと示した。そして二番手はthe knowlus。ブリキオーケストラの初代のベーシストがthe knowlusにも在籍していたり、結成年も同じだったりと、何かと縁のある二組。the knowlusもキャリアの中でメンバーチェンジもありながら、2018年現体制に。ベースが現在のサイトウとなり、これまでの濃密なGROOVEが、よりしなやかにタイトに。ボリュームに頼らない音圧とGROOVE。そこに研ぎ澄まされた言葉がのる。高い演奏力に裏打ちされた心地よさとエモーションをキッチリと見せてくれた。そしてトリ前、3組目はThe cold tommy。DaisyBarでは本当に久々。エモーショナルな三人がまさに三位一体となったGROOVEは健在。そうしたエモーショナルも爆発させつつも、オープンマインドな演奏。きっちりとフロアーに音を言葉を気持ちを届けようというのが伝わる。ストイックに、求道的なパフォーマンスで誰も寄せつけない様な部分が先鋭化していたような時期もあった彼等だけれど、そうした段階とは別の次元に漕ぎ出し、あらためてオーディエンスと演奏で会話をし始めた様にも感じた。ブリキオーケストラの多田羅曰く、The cold tommyとは節目でよくここDaisyBarで対バンしてきたとの事だったけれど、この日はThe cold tommyにとっても節目となったに違いない。そんな突き抜けた、これぞThe cold tommyとったライブだった。そしてトリは勿論、ブリキオーケストラ。3ピースとなり、タイトなロックンロールバンドとしてのブリキオーケストラがそこにいた。ここ数年の様々な形態でのライブは、ロックンロールのルーツを様々な角度から旅する様な楽しさがあった。カリブ海や、アメリカの南部や、アイルランドだったりを旅してきている様な。それはバンド自身の旅でもあったと思うけれど、その旅からこの3ピースというロックンロールバンドに戻ってきたという感じ。そうした3ピースロックンロールバンドとしての魅力を存分に発揮したライブをしっかりと見せてくれ本編の終了。そして、アンコールで披露された一番新しいという曲がここ数年ブリキオーケストラになかった様な、アッパーなビートに回帰したロックンロール。かと言って回顧主義ではない現在進行形な楽曲。歌詞も長年そうしたキャリアを積み上げてきたからこその重みとそのキャッチーさがあった。最新曲がカッコイイというのは素晴らしい。ブリキオーケストラを筆頭にこの日出演した4組は、キャリアも皆十年以上になってきているけれど、止まる事なく続けてきているバンド。その最前線で様々な経験を詰んできているからこそ、ノスタルジーではない新しい何かを生み出されるのではないかと。そんな期待が膨らむ一夜だった。(加)