LIVE REPORT

<DaisyBar Autumn Fes 2012~尾崎世界観の日~>

11/05(Mon)

尾崎世界観(クリープハイプ) / 藤森元生(from SAKANAMON) /
佐藤千明(from 赤い公園)

この日はクリープハイプ尾崎世界観が企画した弾き語りイベント「尾崎世界観の日」。
チケットは、発売日10分も経たないで即完。クリープハイプ、尾崎世界観の現在の勢いを感じるし、取り巻く状況の変化も実感するけれども、この企画は、彼が、何年も前から不定期ながら開催してきたイベントで、彼がその時々で、聴いてみたい人、共演したい人を呼ぶ、と、いうコンセプトも変わらず。彼がやってきている事は昔から変わっていないという事の一つでもある。久々の開催となったこの日は、SAKANAMONより藤森元生、赤い公園より佐藤千明を招いての開催。注目公演多数のDaisyBar Autumn Fesの中でも注目度の髙いイベントの一つ。開場前から長蛇の列が出来、開場して即場内は超満員状態。このイベントへのお客さんの期待の高さが否が応でも伝わってくる。
そんな中、まずトップで登場したのは、赤い公園より佐藤千明。ステージに据え置かれた電子ピアノの前に座り静かにピアノを弾き始め、一曲目から静かな中にも強いエネルギーを感じさせる唄ごえを聴かせてくれ、沢山のお客さんの前でも、弾き語りならではのアットホームな雰囲気を醸し出し、MCも良い意味でくだけた感じで彼女の世界をきちんと作り出していた。最後の曲では赤い公園のドラム歌川菜穂が登場し、彼女がピアノを弾き、佐藤がマイクを持ち、あまり人に披露した事も無く赤い公園が大事にしているという楽曲を力強く歌い上げた。短い時間ではあったけれど、現在バンドが活動休止という状況ではありながら、前向きさと明るさを感じさせるステージだった。
 そして二番手はSAKANAMONより藤森元生。藤森親近感始めます、という挨拶から一曲目、少し自ら堅さをほぐすようにしっかりと、じっくりと唄いだして、ぐっとリスナーを引きつけつつ、MCでは一転、恒例となっているのか、前回このDaisyBarでクリープハイプとSAKANAMONが対バンした時から引き続き、今回も尾崎君の物真似披露をしたり、彼ならではの絶妙なMCで場を和ませたりと、その歌とのギャップがまた彼らしいというか、そのキャラを十分発揮していた。そして赤い公園の曲、クリープハイプのウワノソラのカバーあり、新曲あり、ラストはアッパーにミュージックプランクトンを力一杯披露しての締めと弾き語りならではの彼の声の魅力をじっくり聴かせてくれた。
 そして最後はこの日のホスト尾崎世界観。一曲目は尾崎豊「I LOVE YOU」。そしてテンポアップし、「愛の標識」と立て続けに演奏。会場は、一音も聴き洩らさないとでも言う様に、全意識がステージ上の一点に集中しているのが伝わってくる。それをステージ上で一身に引き受けつつ、それぞれの唄の中の物語をマイペースに綴って行く尾崎世界観。「イノチミジカシコイセヨオトメ」と言った以前からの代表曲から最新曲まで、幅広く弾き語りならではの選曲。中盤で演奏された「ボーイズENDガールズ」、「猫の手」と言った楽曲なども、それ程昔という訳ではないけれど、クリープハイプがバンドとして、過渡期の頃の楽曲でもあり、当時、DaisyBarのステージで唄っていたのを思いだしたりして、懐かしくもあり、ぐっと来ました。アンコールの「ex.ダーリン」まで、様々ないくつかの物語がゆったりと語られ、唄われ、聴く者それぞれが、その物語の中をそれぞれの登場人物と共に旅してきた様な、そんな彼の弾き語りライブでした。彼が、このDaisyBarのステージに初めて立った何年か前、その時も彼一人の弾き語りで、彼の唄の世界にどっぷりと入り込んで、とても衝撃を受け感動したと言う事は、何度か書いたりしてきたけれど、そこから数年経って、こうして弾き語りでDaisyBarを超満員にして「帰ってきました」と言ってくれるのは、ホント嬉しいし、感謝しかない。そして、また新しい物語が唄われ、それと同時に、変わらずまた、それぞれの物語は続いてゆくんだな、などという事も思いました、そんな一夜、良い夜でした。(加)