LIVE REPORT

<ヒロ企画“嘘が本当になる日 vol.9>

12/06(Tue)

小山田壮平 / オワリカラ / 笹口騒音ハーモニカ / CAMISAMA / tomodati 豊島”ペリー来航”渉(バックドロップシンデレラ) / SEBASTIAN X

ヒロのこの企画も気がつくともう9回目。笹口君もMCでヒロ君がどんな人だったか、もはや忘れてしまったけどなんて、(愛情込めて)言っていたりもしましたが、確かに第1回目から、もうかなりの年月が経っている。ヒロの事は一度、ここにも書いたけれど、andymoriの「クレイジークレイマー」とは彼の事で、その最後に入っているセリフも彼の声だ。その他のバンドやアーティストでもヒロの事を唄っている曲があったりもする。彼が当時、自分の曲を作ってくれとバンドやアーティストに無茶振りしてたと言う話も、聞いたことある。ホント、一体どんな奴なんだと思う。この企画は、そのヒロが始めた企画。この第2回目を企画した後に彼は亡くなってしまい、その第2回の本番当日は、彼不在ではあったけれ ど、各出演者の協力により無事行われた。その出演者も錚々たる面々(是非DaisyBarの過去のスケジュールでCheckしてみてください)で、そうした何か引き付けるパワーを持っていた奴だった。その後、太平洋不知火楽団の笹口君から、またヒロ企画やりましょう、と、言ってもらって、なんや、かんやと年に一回づつやりながらここまで来た。今年も無事開催の運びになり、見事ソールドアウト。そして、日付け替わった当日にSEBASTIAN Xが復活、そしてこの企画に参加する事がアナウンスされると言うサプライズもあり。チケットはソールドアウトしていたけれど、出来る限りの範囲で当日券も出し、そんな事も含め、イベントの始めから会場も熱を帯びていた。そして各出演者みな、感動的なパフォーマンスを見せてくれた。トップのCAMISAMAはポップに変化しながらも、相変わらずアナーキー感満載の歌詞でいつものCAMISAMAワールドを作りだし、二番手は豊島”ペリー来航”渉は、普段バンドだとなかなか言えないからと言って、ヒロと音楽と自分達の関係を語って、その後披露してくれたスローな楽曲も沁みた。そして三番手、tomodatiのエレクトロビーツとシャウト。いろんな思い渦巻きながらのダイブも感動的だった。続く、笹口騒音ハーモニカ、毒 と才気溢れまくりの演奏で、「ベイビーブルー」とかやっぱりグットくるし、ユルく、そして毒盛り沢山のMCからの鬼気迫る演奏は凄まじかった。そしてSEBASTIAN X。こんなにエモーショナルでロックなバンドだったっけ、とおもわず唸ってしまったパフォーマンスは圧巻。客席も怒濤の盛り上がり。そしてまさかのアンコールもありで、もう素晴らしく心揺さぶる光景だった。それを受けてのオワリカラも、こうしたイベントでも、きちんと自分達のスタイルで、これでもかと畳みかける怒濤のパフォーマンスは流石。そしてトリは小山田壮平。一曲目「クレイジークレイマー」から、もう曲と声で会場全体を持って行った。後半に唄われた「life is party」、久々に聴いて、また歌詞とメロがグット入ってきて、永遠と刹那を感じさせる凄い曲で、企画の流れも含めでちょっと泣けました。そして最後アンコール「ベンガルトラとウィスキー」で、この濃密な一夜を締め括ってくれた。こうしてみると、この日の出演者、みんながみんな、パンクでアナーキーでロックな人達なんだと再認識。もうエネルギーが半端なかった。そうした面々が、ヒロの名前の元に集まってくれる訳で、あらためて、ヒロって凄いな、と実感。そういう凄さがある分、いろいろと実生活というか、社会的には、ダメダメな所ばかりだったし、嘘ばかりつく奴だったし、関係ないけどかなり酒も奢ったけど、何と言うか、愛される理由があって、それは、何だったんだろうなんて、思い出 したりするよい機会にもなる。ヒロっていうのは、音楽を聴く事の初期衝動というか、根源的な部分を体現していたというか、それは僕にも君の中にもあるモノで、それを思い起こさせてくれ、ロックや音楽に対する純度を試されている様な気にもなる。そして「嘘が本当になる日」というタイトルも、こうやってみると凄い意味を持っているというか、そのタイトルにも助けられたり、引っ張られたり。と、言ってあんまり彼の事をほめ過ぎるのも癪な気持ちにもなるけど、これだけの人に感動を与えられる日を作ってくれたのだから、奢った酒も無駄ではなかったなと。この日も、感動的で、素晴らしい一夜になった。