LIVE REPORT

<CUE>

8/16(Mon)

仲川慎之介(時速36km) / 山口ケンタ(osage) / 西沢成悟(メメタァ)

時速36km、osage、メメタァ、3バンドのボーカリスト3人の顔合わせによる弾き語り企画。まず登場したのは、メメタァ西沢成悟。当初、オレンジスパイニクラブのスズキ兄弟がブッキングされていたが、やむ得ずキャンセルとなってしまい、そのキャンセルを受け、彼がブッキングに応じてくれた。メメタァがはじめてDaisyBarに出演したのは、5、6年前、リスナー中心の企画チームによるイベントだったと記憶。その後もバンドでお誘いしたこともあったけれど、今回と同じ弾き語りで出演してもらうことが多かった。彼自身も言及していたけれど、当時はフロアーにお客さんがほとんどいない様な状況だったりした。その状況を覆しながら、またDaisyBarでやることを、バンドをやり続ける理由の一つでもあるということを語ってくれ、また久し振りにDaisyBarに出演できて嬉しいとも言ってくれ、こちらとしても嬉しかった。西沢君が弾き語りでよくDaisyBarに出演してくれていた当時は、ある一定のデフォルト化されたスタイルのエモーショナルなバンドが多かった。そうしたバンドの中で世の中を斜に構えてみたり、自意識を発動しまくる自分に突っ込みを入れたりして、批評性を爆発させてしまっている彼の歌詞は異彩を放っていた。久々に彼の弾き語りを聴いて、そんなことも思い出した。そして、当時から基本は変わってはいないのだけれど、そうした自意識や、社会と葛藤しながら、ステージに立ち、最終的に自分がなりたい大人を目指して、ロックンロールと叫ぶことを正面から受け入れていると感じた。是非、またバンドでもそのロックンロールスターとしての彼を目撃したい。そして二番手はosage山口ケンタ。昨年、DaisyBarのAnniversaryでバンドで出演予定だったのだけれど、イベントが中止となってしまったのもあり、個人的に生で彼の歌声を聴くのは初。もう一曲目からその声、メロディーの圧倒的なパワーで、グイグイ引き込まれたしまった。心地良くもあるのだけれど、歌詞やMCや、その刹那の中に全てを注入しようとする様なライブパフォーマンスなどは、ヒリヒリとしてグッときた。中盤のオレンジスパイニクラブの「敏感少女」のカバーで、一つのピークを作りつつ、そこから更に後半に上がってゆく素晴らしいパフォーマンスだった。そしてトリは時速36km仲川慎之介。今年になってからも何度も弾き語りでステージに立ってくれていて、よい意味でライブ運びも洗練されてきているのだけれど、この日は更に貫禄というか、ステージから溢れる自信の様なモノも強く感じた。洗練と言っても彼のよい意味でのゴツゴツした起伏みたいなモノもしっかりあって、そのゴツゴツに、個人的には、ロックンロールを感じる。ニューアルバムに収められている楽曲群も弾き語りならではのパワフルさもあってよかった。そして、イベントの流れを受けて急遽オレンジスパイニクラブ前身バンド時代からの楽曲「急ショック死寸前」を披露。それを急遽サクッと披露できるのもカッコよかったし、彼等への愛も感じた。こうした所も弾き語りならではだし、この日のイベントならでは。慎之介君がMCで言っていた様に、この日は彼も含め本当に唄のよい出演者が集まっていたと実感。そしてその唄のよさというのも、三者三様で、皆、視点も違うし、メロディーの伝え方も三様。それぞれの短い持ち時間の中で、それぞれのストーリーをしっかり見せ、聴かせてくれた。こうした弾き語りだからこそ、またこの三組だったことにより、見えたり聴こえたりすることもあったと思う。三人から様々な感情を刺激された豊かな時間だった。(加)