2015.06 JUNE
2015/6/23(tue)
<DaisyBar 10th Anniversary FINAL>
クリープハイプ / シュリスペイロフ / 空きっ腹に酒
クリープハイプ / シュリスペイロフ / 空きっ腹に酒
DaisyBar、おかげ様で10周年、と言う事で、3、4月の10周年月間を経て、そのシメにクリープハイプが今年もDaisyBarに帰って来てくれた。と、簡単に言ってしまうけれども、武道館を二日間売り切ってしまうバンドが、こうした街の小さなライブハウスでライブをすると言うのは、そう簡単ではない事だし、バンドとして本当に凄い事。それはもうこの日集まったお客さんの熱を感じれば、リスナーの皆さんの方が、それを充分理解していると思った。そして、その思い入れの強さも肌で感じた。そんなお客さんで開演前には超満員に膨れあがったDaisyBar。この日はクリープハイプWEBモバイル会員限定でチケットを販売。そしてチケットソールドアウトの後に対バン発表(対バンは、こういう機会でも無いとなかなか出 来ないバンド、と、クリープハイプがお誘い)。と言う状況の中、そのステージにまず登場したのは、空きっ腹に酒。「DaisyBarの10周年をお祝いに来ました!」という言葉と共に、一気に怒濤のファンクGrooveを叩きつけ、フロアを沸かした。最近観たジェームスブラウンの映画を思いだした(決してそこだけでは無いけれど)。もうそこからは、フロアをドンドンこれでもか、と言う程に煽りつつ、「お前らは、俺たちが出なくてもここに来て、クリープハイプを観たかもしれないけれど、俺たちはお前らがいるから今日ここに来たんだ」と、言った趣旨の素晴らしいMCも飛び出し、フロアもそれに応えつつのパフォーマンスでイベントを最初から盛り上げた。そして続いて登場は、シュリスペイロフ。前回は、未完成VS新世 界の解散ライブの際、その時もシークレットで出演してもらっており、何かDaisyBarとはそういう不思議な縁のあるバンド。こちらは、独自のペースで自分達のポップをきっちり届けるパフォーマンス。お客さんもきっちりそれを聴き入っていた。途中、MCでは、物販会場でメンバーがスタッフと間違われたエピソードなども披露していたりしたけれど、ステージではこうした対バンの中でも、着実に自分達の形で存在感を残していた。そして、トリはクリープハイプ。いつものように、さー、っとステージに現れた4人。ほんといつものクリープハイプなのだけれど、そのいつものクリープハイプが、こうしてまたDaisyBarのステージに立っている事にグッとくる。そして、自然にDaisyBarのステージに馴染んでしまう感じが ロックバンドだな、とも思った。一曲目「イノチミジカシコイセヨオトメ」。何回このステージで、この曲が演奏されただろうと言う、本当に初期の頃から演奏している曲。更に、「手と手」「週刊誌」と、当時演奏されていた曲を立て続けに披露。DaisyBarで演奏されていたこうした曲達を、武道館や、野音で聴くのも感慨深いのだけれど、こうして、またここで聴くと、違った感動がある。と、そんな感情もありながら、もう一気に単純にライブを楽しんでいる自分がいた。毎年、クリープハイプがこうして帰ってきてくれてのライブは、お客さんの方にも、独自の緊張感が漂っている感じはあったのだけれど、尾崎君の「思い入れが強いのは分かるけど、いつもの様に思い切り楽しんでください」と言った様なMCも あったりしたが、もう純粋に、バンドと楽曲のパワーで、フロアも最初から一気に沸いていた。そして、最新シングル「愛の点滅」と続き、と書いて行くと、かなり長くなってしまいそうなのだけれど、このあと、「おやすみ泣き声、さよなら歌声」、「大丈夫」と続いて、更に、この日がライブ初披露となる、「クリープ」、一平ちゃんのCMで使われている新曲、そして更に更に、映画「私たちのハァハァ」の主題歌「わすれもの」と、怒濤の新曲攻勢。新曲、どの曲も良くて、こうして新曲達を聴くと、本当に彼等がやってきたこと、唄ってきた事の根本は変わってないな、と思う。うまく説明できないが、自分(主人公)の感情だったり、状況と現実とのギャップをリアルに感じ、そのどうにもならなさを、ポップ 、ロックに昇華しているというか。本編ラストに披露された「百八円の恋」も、そうした名曲だと思うし、個人的にも大好き。こういう歌詞をかけるバンドは、なかなかいない。そしてアンコールで「さっきの話」を演奏して、終演かと思いきや、鳴り止まぬ拍手に、点きかけた客電の中、三度クリープハイプ登場。最後は「ヒッカキキズ」。演奏前、尾崎君が少し話してましたが、こちらもDaisyBar出演当初から演奏していた曲。ホントいろいろ感慨深かった。そして贅沢でスペシャルな時間もあっという間に終了。原点を忘れず、最前線で道を切り開き続ける彼等のパワー(というかそれ以上の何か)を、この距離感で叩きつけられた。クリープハイプとDaisyBarの歴史として、感慨深い部分もあり、そう書いてますが、 単純に最前線のロックバンドをこの距離感で体感した!みたいな興奮も強い。クリープハイプを観ると、そんな風に、毎回いろんな思いを持たせてくれるし、力をもらえる。そしてまた頑張ろう、と思う。この日も、観たお客さんそれぞれに、それぞれの状況の中で、そうしたパワーを持って帰ったと思う。本当に贅沢で特別な時間だった。(加)