DaisyBar

LIVE REPORT

2010.2 FEBRUARY


<ヒロ企画“嘘が本当になる日 vol.2”>

竹原ピストル/小山田壮平(andymori)/音沙汰(SEBASTIAN X)/
吉田諒(ネズミハナビ)/尾崎世界観(クリープハイプ)/
中村むつお(テングインベーダーズ)/タカハシヒョウリ (オワリカラ)/
日本松ひとみ/TEAMでんでけ/笹口騒音オーケストラ(太平洋不知火楽団)/内藤重人(from ThreeQuestions)/神さま

 このイベントの企画者であるヒロがDaisyBarに出入りする様になったのはいつの頃からだろう。多分、The next!やクリープハイプ、あとVeni Vidi Viciousなんかを観にきていたんだと思うけれど、ヒロと直接話す機会はほとんど無く、実際にその存在もあまり認識してなかった。彼はいろんなバンドのライブを見に行っては、ホントほとんど毎日の様にライブハウスに出入りしてたみたいだった。
そして2008年に一本初企画を、DaisyBarでやる事になる。この時イベントは、別のスタッフが仕切ってくれていたので、この時もまだヒロとちゃんと会話したという記憶がない。そして、2009年6月誕生日って事で、また企画をしたんだけれど、直接ヒロとちゃんとした形で話したのは、このイベントの打ち上げの時だったかもしれない。あ、その前にクリープハイプの特典CDがついてなかったとか何とか、そんなクレームももらってたかな。ホントあーゆえばこう言うって感じで、面倒くさい奴だなーと思ったけれど、本当に音楽が好きで、バンドが好きで、それを必要としている奴なんだなと思った。
あんまり人の都合とか考えない奴だったけれど、夜とか近所のライブ帰りにDaisyBarに立ち寄って、一週間飯を食べてないとか言いながらお酒をグビグビ飲んでたり嘘かホントかわからん話をして帰って行くヒロと話しているのは個人的には結構楽しかった。そして、それはきっとバンドマン達も同じだったんだろうと思う。純粋に自分達の音楽をちゃんと聴いていて、好きでいてくれる奴だったからだと思う。
そんなヒロがこの6月の企画後くらいから、弾き語りの企画をやりたいと言い出して、始まったのがこの企画。ホント凄いメンツだ。ヒロでなければブッキング仕切れないメンツである事は確かだ。ヒロの半強制的なブッキングパワーは半端では無い。そして本来だったら、これだけのメンツを1回で見せるのはハコ的にも、お客さん的にもシンドイので、個人的には止める所だけれど、何かやってみようかなという気にさせるというか、こちらを諦めさせる技をもっている。そしてあっという間に出演者も決めて、かなり早い段階で、タイムテーブルまで決めてしまっていた。そして、フライヤーを配りまくっていた。その間にもDaisyBarに来ては、andymoriのレコーディングに参加してきましたよーとか、相変わらず嘘かホントかわからん話をしてたりした。
そして、昨年末、突然、彼の訃報が届いた。皆同じだと思うけれど即座には信じ難かった。不思議なモノで、企画者はいなくなったと言われてもイベントは残っているし。タイムテーブルまで決まっている。これは本当に出演者のみんなの理解と協力とヒロのこれまでの功績だと思うけれど、ほとんど、こちらが何か特別な事をすること無く、イベント自体が無くなる事も無く、そのままこの日を迎える事が出来た。
イベント的には、15時スタートという強引な時間設定だったにもかかわらず、最初からお客さんは入り、フロアに出された椅子も埋まってきている状態で、この日唯一バンド編成で出演したトップの神さまが、座ったお客さんを前に演奏している姿が、何か、素晴らしくシュールだった。ヒロでないとこういう事は出来ないな、と変な所で納得してしまった。そんな神さまに代表される様に、みな湿っぽくなる事も無く、自分のスタンスで、いつもの自分達のライブを見せてくれていた気がする。途中壁にヒロの写真も貼られた。そして、ヒロのかなり無理矢理なタイムテーブルも手伝って、イベントは徐々に押し、お客さんも時間と共に増えてきて、尾崎君の出番の前にはかなり人口密度となったので、急遽お客さんと協力して椅子席をバラして、オールスタンディングへ。尾崎君も多くの聴衆を前に今の自分をキチンと通したライブをしていた。
そして、ネズミハナビの二人、音沙汰に続いて、andymori小山田壮平登場。一曲目クレイジークレイマー。ヒロの訃報をきいて以来、この曲を聴いていろいろ考えたりした事もあって何か本当になんとも切ない思いになった。相変わらずセットリストの記憶は曖昧だけれど、CITY LIGHTSや16とかやっていた気がする。そして、ヒロが亡くなった後につくった曲といって、歌われた曲も切なく素晴らしい曲だった。そして、最後にクレーマーへという曲が演奏された。そしてトリの竹原ピストルさんへ。彼なりのヒロへの、そして、我々へのメッセージとしてリアルに伝わってくるライブだった。すべてが終わった時には、もう終演予定をかなりすぎていたけれど、最後までじっくりイベントを味わってくれた様だった。
その後打ち上げはヒロのオーダーでカレーも出したりで、出演者と飲みながら、ヒロの話を沢山出来てよかった。再び深夜小山田君が生演奏でクレイジークレイマーとクレイジーを歌ったり打ち上げもかなり盛り上がった。ヒロは幸せ者だなと思った。小山田君の唄の歌詞を借りれば、俺のひまわり畑も咲きまくってんだ、わけがわからんわからんわからんわからんわからん事もわからん。って感じで、みんな自分のひまわり畑があって、ヒロの中に自分を観てたのかもね。でもそれはちょっと良く言い過ぎか。何かまたこういう機会ができたらよいなと思った。(加)