2025年7月5日
スランバーズ単独演奏会~ONEMAN THE SLUMBERS 2025夏~
The Slumbers【ONE MAN】
The Slumbers、京都発、オーソードックスな4人編成のロックバンド。ガッツリ唄と演奏をロックンロールのGROOVEで聴かせ、魅せるバンド。DaisyBarには昨年から何度か出演してきており、この日、東京での初ワンマンとなった。昨今ネット上で音楽が聴かれる事によって、その音楽、ポップミュージックの形式も変化してきた。イントロなし、速いテンポ、間奏なし、と言った楽曲も目立ってきている。そうした動向とはまったく真逆な、ある意味の王道のロックを奏でているバンドがThe Slumbers。イントロにはガッツリとした重いギターリフがあり、バンドの音量にも負けないデカく太いボーカルがミドルテンポの曲調にゆったりと力強く乗る。リズムの速さでバンドのノリをだすのではなく、ミドルからスローといったテンポで、リズム、リフ、ボーカル4人のアンサンブルでGROOVEを生み出して行く。楽曲、歌詞からも英米、そして日本のロック、フォークのからのオマージュなども聴き取れる。90年代、真心ブラザーズは「都会では自殺をしない若者で大賑わい」と70年代の井上陽水を引用し、当時の虚無感を唄った。2025年、The Slumbersは「時は流れても僕には傘がない」と唄う。だから何なのだという言われれば、まだ答えはないのだけれど、この日この楽曲をLIVEで聴いた時、ロック、フォーク、ポップミュージックの歴史、時代が巡り、繋がってゆくのを実感した。そして彼等のLIVEからは、ロックロールバンド的な野心とギラギラ感が溢れ出る。温かいサウンドや言葉と共に、ロックンロールバンド特有の攻撃性をも持ち合わせる。ある種の拭いきれないメンドくささがそのゴツゴツとしたサウンドにも現れる。本来ロックバンドとはそうした、効率悪くめんどくさいものである。効率だコスパとか、言い出したら、そもそも人間なんて生きているだけでコスパ悪いし、地球に対して害悪しかないんじゃないか、なんて所に辿りつきかねない。そんな面倒な生き物だからこそ、こうしてわざわざロックンロールを聴く。The Slumbersをみてるとそんな事まで考えてしまう。彼等もMCで語っていたが、まだ関東では知名度的には、これからと言う彼等にとって、このワンマンはかなりのチャレンジであったと思う。けれどそこに突っ込んで行く。それこそ、効率やコスパと無縁である。それが彼等の魅力でもある。結果フロアは未だ満員とは言いがたかったけれども、しっかりと埋まり、モッシュの様な派手なリアクションはないけれど、しっかりそこに彼等のサウンドが染み渡り響き渡っていた。そして彼等のGROOVEがオーディエンスの身体を揺さぶっていた(今後モッシュみたいな事は起こり得るけれど)。ロックロールバンドをライブハウスで聴く、観る快楽を思い出せてくれる、そんなLIVEだった。(加)