ひめはじめ

クリープハイプがまさかの、このタイミングでDaisyBar登場。まさにお年玉。クリープハイプとしては、2015年6月に、DaisyBarの10周年の締めに出演してもらって以来。と、言ってもこのクリープハイプ規模のバンドが、ここDaisyBarでLIVEを行うと言う事は、早々叶うことでもないので、かなりの頻度だと思う。この日はファンクラブ限定という事で、集まったのはクリープハイプのコアなお客さんと言ってもよいかと思う。そうしたお客さんで埋め尽くされたDaisyBarに、まず登場したのはジョズエ。ボーカルギターのにたない君は、以前違うバンドでも何度かDaisyBarに出演してくれていて、こうした形でまた再会するとは不思議な気持ち。このバンドはまだ始まったばかりとの事。3ピースのミニマルな編成で、ブルーズ だったりフォークだったりを基調にしながら、そのシンプルな音に言葉を乗せ、しっかりと唄を聴かせてくれた。そして二番手は京都から台風クラブ。こちらも3ピース。歪んだギターが印象的。様々な日本のロックへのオマージュも散りばめられていて、所謂シティポップとはまた違った、よい意味でズレたポップで、その3人が放つグルーヴがとても心地良かった。これぞ京都のバンド、という印象を持った。そして、いよいよクリープハイプ登場。この規模でクリープハイプを観られるという、プレミア感は当然あるのだけれど、いつもの様にすっとステージに現れた彼等の、実際にステージに立っている姿を観ると、良い意味で、しっくり来るというか、馴染んでいるというか。少し見慣れた景色にも見えた。 この日は一曲一曲MCを挟んで曲に対しての思いなども語ったりもしてくれて、個人的にも、一曲一曲、あんな事があったな、とか、ストーリーを語りたくなってしまう様な選曲。「愛の標識」では、今回もDaisyBarの事を下北沢を代表するライブハウスと唄ってくれて、ホント嬉しい限り。でも、それだけでなくて、やはり襟を正すというか、見合ったライブハウスを目指しつつ、そうあり続けなければな、というプレッシャーも受けつつ、勇気もらいました。そして「チロルとポルノ」、あらためて今聴くと、歌詞も凄いし、良い曲だな、とつくづく思う。久々に聴いた「リグレット」。これは、12月のライブレポにも書いた、ヒロ企画の企画者である所のヒロの事を唄った曲。その事を語ったあとに演奏されたこの曲 でも、いろんなシーンを思い出してしまった。彼もかなりクリープハイプ好きで、クリープハイプのcdの特典が自分のは違ったとかなんとかで、特典欲しいとクレーム(?)を受けたこととか。今回、そんなパーソナルな事も思い出したりもしたのだけれど、かと言って、そういった、ただノスタルジーを誘うという内容では無く、「テレビサイズ」「身も蓋もない水槽」と、怒濤のパンクロックナンバーを叩きつけたあたりは圧巻。そして新曲も披露。これまた毒っ気満載で、更にリズムも多彩。攻めまくりで、また新しい音源が楽しみになった。カオナシ君がボーカルを取る「火まつり」 「かえるの唄」も大いに盛り上がった。そして、本編ラスト「ねがいり」は、この流れでグットきてしまった。ホントはこのグットきた所をもう少し言語化出来ればよいのだけど、何だろう、あの尾崎君がぐわぁーっとボーカル張る所でグットくるのは、もうグッとくるとしか言いようがない。そして、アンコールは「イノチミジカシコイセヨオトメ」。この曲も何度もここDaisyBarで聴いた曲。今にして思うと、当時から毎回こうした曲が毎月のように演奏されていた訳で、凄い現場にいたんだな、と思うし、それを凄い事にしたクリープハイプはやっぱり凄い。この日のセットリストは、レアというか、尾崎君がMCでは地味なセットリストと言っていたけれど、個人的に腑に落ちるというか、効くツボを発見されて 、押された様なセットリストで、見事にハマってしまった。そしてパーソナルな思いもたくさんこみ上げてきた。そうした空間でもあったと思うけど、それは、会場にいたそれぞれのお客さんが、それぞれに色んな思いがあって、そこに曲と自分のそれぞれのストーリーがあるのだと思うし、更に多くのリスナーと、それぞれにパーソナルな結びつきを結んでいるんだな、と言う事をあらためて思った。だから彼等のやっている事の根本はきっと変わっていないんだと思う。そして今回のライブでも勇気もらったし、初期衝動を思い起こさせてくれた。素晴らしいライブだった。(加)