最近は、音楽のルーツという所をみると本当に多様になったとも感じるけれど、海外インディロック特に90年代のオルタナサウンドを参照するバンドもまた増えてきている様には思う。とはいいつつも、なかなか、昨今の海外との往来もままならい状況なども踏まえるとそうした、海外の音楽をリアルに体感しずらかったり、インディロック自体が海外のチャートにもあまり顔を出さなくなってきたりもあって、やはり海外のインディロックとのリアルタイムなリンクはなかなか難しい状況にもあるのかとも思う。そうした中ではあるけれども、90年代、ゼロ年代から綿々と繋がるインディロックのベースはまだまだあって、そうしたインディロックで土曜日盛り上がりましょう!と、なんとなくそんな趣旨で企画したイベント。まずトップで登場はetymon。彼等とも長い付き合いではあるけれど、編成やパートもかなり自由に変わったりしている印象。この日はメンバー3人の3ピースで出演。社会の当り前をシニカルに捉えつつ、そこにいる自分にも突っ込み入れる自問自答的な歌詞。バンドをやるにしても、そこになにかしらのセオリーがあったりしてそこに乗っかりつつ、バンドの編成なども自由に変化させたりするのも、そうしたセオリーを超えて、音を鳴らす事に重点を置いているという事なのかも。二人の女性陣によるカラフルなリズムとコーラスワークも冴えわたり、3ピースならではのタイトさでetymonならではのGROOVEとポップとロックをしっかり聴かせてくれた。そして2組目登場はThe holy’s。こちらは一転、パワーと技術力で畳みかけ、しなやかななGROOVEでフロアをグイグイと引っ張る安定感。王道のパーフォーマンス。彼等の様なバンドがこうして定期的にライブを行っている事は貴重でもあり、そうした積み重ねが更にその裾野を広げて行く原動力にもなり得ると思う。なのでフロアと共にシーンをもガンガン引っ張り上げて行って欲しい。そして3組目は初登場Loneliness In Big Cities。在日英国人と日本人の混合4人組バンド。決して爆音を鳴らすという形でなくそうした、一音一音聴かせる様なギターのアルペジオのリフなど、まさにUKインディロック然としていて、心地良いサウンドを鳴らしていた。そしてトリで登場はCAIVVAS。このイベントの数週間前に、ギターの松坂が、この日を以てバンドを脱退するとの発表がされた。このイベントの企画を考えた時点では単純にこうした企画にはCAIVVASに出て欲しいし、メンバーにも会いたいし久々にあのサウンド聴きたいと思って声かけたのだけれど、これがこの5人での最後パフォーマンスになってしまうとは。サポートのリズム隊二人を含めた5人になってのCAIVVASは、まさに鉄壁のアンサブル。この日もその鉄壁のアンサブルを孫文に体感。グッドメロディーをグッドサウンドでパフォーマンスするというシンプルだけれども誰もができる訳でないことをサクッとやってのけていた。ギター3本なんだけど、決してうるさくなく、それぞれが際立って行く様なアレンジ。コーラスワーク。ホント聴いていて気持ち良い。この5人でのバンドサウンドが聴けなくなるのは本当に残念。こうした機会になってからこそあらためて、この5人が一緒のバンドにいるという豪華さを再認識。そしてバンドってそうした奇跡的な瞬間の積み重ねなのだなともあらためて思った。淡々とではあったけれども、エモーションもがっつり伝わってくるパフォーマンス。彼等の一つの形の集大成的なのだなとも思った。あらためてこうした素晴らしいサウンドを生み出し続けてくれた5人に感謝。そして彼等それぞれの今後にも更に期待したい。(加)