Dig Up Music.FES Vol.6

この企画は、普段、ライブハウスに通ったりしているリスナー4人からなる企画グループによるイベント。こうしたリスナー主体の企画は、プロのイベンターだったり、事務所だったり、レーベルだったり、もしくはバンド自体が主催するイベントなどとは、どこか違ったリアルさがある。そして、こうしたリスナーがやっているイベントで、回を重ねて6回目を迎えるまで続いているというのは、なかなか稀で貴重。数人でやるにしても、いろいろなリスクを背負ったり、本業とは別の手間をかけてイベントを作って行くわけで、続けて行くのは大変だと思う。そうした積み重ねをしながらの第6回目。この日は、開演前にはかなりの人。その多数のお客さんに迎えられて、まず登場したのはKOTORI。前日ここDaisyBar で快心のライブパフォーマンスを見せてくれたばかりの彼等。この当日に出演を発表するというかなりサプライズな出演ではあったけれど、今のKOTORIの勢いを象徴する様に、会場もウエルカム状態。前日のライブもそうだったけれど、何かに開眼したというか、一気に貫禄と説得力を増したパフォーマンス。やけっぱちにも見えるのだけど、その根底にある肯定感が観ていて気持ちいい。それも何か単純化されたものでない所が、ジワジワ来て、また次も観たいと思ってしまう。そんな彼等の勢い溢れるパフォーマンスがイベント開始早々から会場をグッと沸かせた。そして二組目はafloat storage。彼女達も何度もDaisyBarに出演してくれているのだけれど、この5月を以て活動終了という事を発表。勿体無い気もしたけれど、中盤に演奏された新曲が、これまでのafloat storageにはなかった様なソウルポップなバラードで、新境地を感じた。そして、この日の吹っ切れたライブパフォーマンスが、ボーカル稲見が既に新モードに入ってる様に思えて、その彼女が次にどんなアクションを起こすか楽しみになるライブでもあった。そして三番手水槽のクジラ。これまでのアッパーな二組と打って変わって、ゆったりとではあるけれど、熱さを感じるリズムやギターリフで、独特のタイム感と、緊張感を放っていて、どこか深く潜って行く様な、そんな時間だった。そしてトリ前に登場はピンクシガレット。初めて観たけれど、ボーカルの声が力強く、もうそこでガツンと呑み込んでしまう。そして、楽曲、ライブにも日本のロックの色々な要素が詰め込まれていて、それでいてその歌の強さで、彼等でしかない存在感を放ちまくっていて、イベント的にも、更に熱を呼び起こした。そしてトリは、大阪からハンブレッダーズ。スクールカーストの最底辺から青春を歌いに来ました!との宣言と共に繰り出される楽曲が、ホントもう青春!!って感じ。この青春も、スクールカーストの最底辺ではあるけれど、酸っぱさだけでなく、ちゃんと甘酸っぱさがあって、なんかリアリティと物語の真ん中を行く、キュンキュン感がよかった。MCも、頭の回転数早すぎる感じで楽しかった。こちらもまた勢いを感じさせるライブで、大阪からと言う事であったけれど、もうホームの様な空気感で、トリに相応しいパフォーマンスを見せイベント終了。この企画の第1回目は、2014年の8月。その第1回目から、自分達が良いと思っているバンドやアーティストを探して、ピックアップして、多くの人に発信したい、それをライブで共有したいと言うコンセプトで、その気持ちがしっかりあるから続いているんだと、あらためて思った。これまでのすべてDaisyBarで開催してくれていて、毎回いろいろと試行錯誤しながら、イベントを作っている姿をみていたのだけれど、そうした試行錯誤の中から、今回、6回目にして、そのの一つのカラーがしっかり打ち出され、そのジャスト感が多くのリスナーにも届いたんだと思う。毎回DaisyBarでやってくれているなかで、敢えてDaisyBarに無い色を持ち込みたいとブッキングしてくれているので、それも毎回楽しみ。そして徐々にが、そのDaisyBarの新しいカラーを作り、リードしてくれる存在になってくれたらまた楽しい。バンドがDaisyBarと共に育ってくれるのも嬉しいけれど、イベントがDaisyBarで共に育ってくれるのも、また嬉しい。そんなことも考えた感慨深い一夜だった。(加)