DaisyBar 16th Anniversary スペシャル
CRYAMY -red album-リリースツアー[建国物語]extra

この日はDaisyBar16周年のアニバーサリーの一環として実現したCRYAMYのワンマン。昨今の情勢で、昨年決まっていたDaisyBarでのライブなども中止になってしまったりで、気がつけば約二年振りの出演。その間ボーカルのカワノが弾き語りで出演してくれたり、何度も顔は合わせていたので、そこまで期間が空いている気はしなかったのだけれど、やはりCRYAMYをDaisyBarのステージで、久々に、やっと観られるという感慨は大きい。それも、アニバーサリーにワンマンという形でお祝いしてくれるのも本当に嬉しい。全国ツアー真っ只中という状況の中、かなり突発的に発表されたワンマンにも関わらず、チケットの申し込み倍率はかなり高いモノに。CRYAMYの今の勢いを感じるし、彼等がこの二年間、きちっと最前線を突き進んできたことの証でもあると思う。二年振りと言う事も含め、否が応でも期待が高まる。まずは、オープニングアクトとして、カワノが弾き語りで登場。その際、DaisyBarのアニバーサリーという事もあり、DaisyBarとの想い出を語ってくれた。CRYAMYをこのDaisyBarに引きずりこんで、ここまでの関係性を築いてきた金子との話も面白かったけれど、その後に私との想い出も語ってくれ、私がこの欄で書いたCRYAMYのライブレポート(当時は毎月スケジュールに掲載してました)の内容が嬉しかったという趣旨のことを語ってくれ、こちらとしてもとても嬉しかった。なので、自分で今、この文章を書くハードルが上がってしまってもいるのだけれど、あらためて様々な表現に対して襟を正して向き合って行かなければとも思う。CRYAMYのライブには、オレ達はこうだ、お前はどうなんだ、と、言う問いを突きつけてくる様な瞬間がある。只、それは決して上からではなく同じ地平で生きるもの同士、同じ目線で語りかけてくるというか。この日の弾き語りでも、彼が音楽をやること、自分の唄を歌うことに対して、誠実に向き合いながら、きちんとそれをこちらに届けようとする姿勢が更に密度濃く、親密さを増して伝わってきたし、彼の強い意志も感じた。そして、CRYAMYのライブ。久々に観た彼等は、演奏力とライブバンドとしての筋力がガッツリ上がってきていて、ロックンロールバンドとしてのカッコ良さも増していた。うわ、カッコイイと、音が鳴った瞬間に思ったのだけれど、そうしたフォーマットとしてのバンドのカッコよさを身に付けつつ、決してそれを良しとしないというか、自ら身に付けたそのカッコよさを敢えて壊そうとするというか、その枠を外そうとしているというか。いつでもオルタナティブでパンクであろうとするというか。そういう所にも誠実さを感じるし、そうし続けなければ意味がないと言っている様にもみえる。そして彼等の世界は、ステレオタイプの、例えば、わかりやすく社会が悪いとか何とか、そうした所には逃げないし、混沌とした世の中を混沌としたまま描いていて、一つ一つの言葉を聴き取ろうとしている内にマシンガンの様に次の音や言葉が投げかけられて、その意味を理解しようとする前に勢いと圧で納得してしまうことさえあるし、ふと自然とフレーズが入ってきて、グサッと深い所の刺さってゆくこともある。彼等のデッドエンド感の無さというのは常にそうしたオーダーとディスオーダーを繰り返している姿勢にもあるのかもと、今、書きながら思った。そして、彼等がやっていることは、世界を変えるというよりは、目の前にいるあなた達一人一人と今日ここで出会った以上、出会った後にあなたと私の中に少しでも変化が起こっていればいいよね、という、そういう事であるのかなとも思う。そうしたCRYAMYの姿にグッとくる。あっという間ではあったけれど、特別で濃い時間だった。またDaisyBarでガッツリ観たい。(加)