この日は、The holy’sとDaisyBar共同企画“VALUES!!+”。The holy’sとDaisyBarの共同企画としては、イベントタイトルがまだ定まっていなかった3月、そして“VALUES!!+”として開催した7月に続いて、今年三回目の開催。この企画は、この時代だからこそインディロックにこだわったイベント。前回7月には、NOWEARMANの二年以上振りとなるライブを実現させたり、彼等より年齢的に下の世代であるPeaceをしっかりフックしたり、ここDaisyBarでも何度か対バンし互いに刺激しあっているリフの惑星を招いたり、と、まさにそんな彼等のこだわりをしっかり反映させたブッキングだった。そして同時に、The holy’sのシーンにおける役割をしっかりと受け入れはじめたイベントでもあったと言える。そしてこの日もそうした拘りと役割がしっかりと反映されたブッキング。日頃交遊もあり近しい所にいるバンド勢を招いての開催。まずは、ファイヤートマト-絆-。スリーピースのパンクロックバンド。この週の月曜にもここDaisyBarに出演。その際も快心のライブを展開。彼等の持ち味の歌詞とパンクロック的な衝動。その根源に流れる世の中のどうしようも無さや、悲しみ。それを笑って蹴散らす爆音。そうしたものが絶妙のバランスで投げつけられる。そうした絶妙のバランスだからこそ、この日はそのバランスが、とりきれていない所もあったけれど、それも彼等の味だと思えてしまう。そしてこの日は久々にTENGUSTARの「夏の幻」のカバーも披露。永遠の別れや、俄には埋めがたい喪失を経て、その上に立って鳴らされるパンクロックに今回もグットきた。そしてFROG PREACHER。インディポップとインディロックそして、更にシティポップ的要素もありつつ、80年代、90年代のサウンドを縦横無尽に往き来しながらポップに昇華してゆき、自然と体を揺さぶるGrooveとパフォーマンスは流石。しっかりとフロアーを温めてくれた。そして三番手はetymon。続く日常とそこで抱く様々な感情をオルタナ且つポップに展開させてゆく。当り前にはみ出し、ゆがんで、歪んで行く音像。それがそのまま彼等が日常に抱く違和感でもある様。そして最終的には、なんかそんな日常のいろいろも、ま、いいか、とも思わせてくれるパフォーマンスだった。そしてトリはThe holy’s。この日MCで触れていたけれど、今年で結成10周年との事。まさにこの10年ライブハウスで鍛え上げられた骨太のGroove。そんなGrooveを存分に叩きつけるパフォーマンスは圧巻。当然アンコールもかかりアンコールには初期から演奏されている楽曲を披露。フロアーも最高潮。このイベントを締めくくる圧倒的な盛り上がり。新旧交えたこれぞThe holy’sというセットリスト。定期的にこれくらいのボリュームで彼等のLIVEを観たいとも思わせる。バンドの気持ちよさ、もしくは居心地の悪さを含めたGrooveというのもやっぱりあって、それはやはり代えがたいモノだと再認識。The holy’sは、UKのバンド、クーラシェイカーからの影響という事を言われるけれど、フォーマットや楽曲というより、その所以はむしろバンドのGroove感だと思う。そのGrooveをも吸収してゆく事はなかなかできる事ではない。そして、The1975とポストマローンがそれぞれがサマソニのヘッドライナーを務めた2022年。インディロックにこだわりつつ、90年代のUKインディロックだけでなく、そうした2022年の世界の潮流にも目配せをしながら進化してゆくThe holy’s。The1975もアークティックモンキーズもカッコイイし、勿論ポストマローンでもハリースタイルズでも盛り上がりたい。そんな来年2023年に、彼等なりにどんな回答を見せてくれるか、更に楽しみ。(加)