DaisyBar pre. CUE

佐々木亮介(a flood of circle)と仲川慎之介(時速36km)によるソロの2マン。a flood of circleも時速36kmもDaisyBarではそれぞれ馴染み深く、歴史を刻み続けてくれている二組ではあるけれど、世代(と、いうかDaisyBar出演し始めた時期)も異なるので、バンドも含め初の顔合わせ。まずは仲川。序盤から仲川らしい唄声でしっかりと会場全体に彼の楽曲を響き渡らせる。彼の唄に初めて触れるお客さんも多かったと思うけれど、そうしたお客さんにもしっかりと音、声、楽曲が届いていた様子が伺えた。MCでは一気に仲川のフラッド愛が炸裂。どれだけフラッドを好きで佐々木亮介に憧れていたかという話も。そうしたMCも交えつつ一曲a flood of circleの「象のブルース」を披露。もう選曲がシブい。そのギターアレンジが、インディーズ時代のファーストに収録されているバージョンを元にしていて、その辺からも仲川のフラッド愛が垣間見れた。そして仲川からステージを引き継いで、佐々木亮介登場。フリースタイルなトーキングブルーズで幕開け。オフマイクでの生演奏あり、スピッツのカバーあり。ラップトップを持ち込んでそこからバックトラックを流しながら唄うスタイルもあり。そのバックトラックを流すスタイルでライブの数日前にリリースされたばかりの「自由研究」も披露。現在進行系のR&Bやポップミュージックともリンクしながらフォーマットに捕らわれずアウトプットして行くソロならではの自由さ。この数日後には、この日撮影されたとおもわれるこの楽曲のMVもサクッとアップされていたし、毎月新曲だしてこうと思ってるという様なことも言っていたし、そのスピード感と熱量カッコイイ。そして、後半の弾き語りスタイルも熱くグッときた。そして、アンコール。この日ならではのスペシャルなものに。佐々木と仲川、二人でa flood of circleの「月面のプール」を演奏。仲川が佐々木のフレーズ一つ一つに感動の声を上げる姿が、微笑みを誘って会場全体を包む感じもよかった。その二人のギターと声が重なり奏でられる「月面のプール」も圧巻。更にこの日遊びに来ていたCRYAMYのカワノを呼び込み、CRYAMYの「物臭」を佐々木、仲川のギター演奏でカワノが唄うというサプライズ。何者でもない我々に向ける視線というか、そこから奏でられるブルーズというか、それがこの三人の共通点の一つなのかもと思った。そして、最後は佐々木と仲川で再度「象のブルース」。十数年以上前a flood of circleがDaisyBarに出始めた頃、演奏していた楽曲。当時から個人的にもこの曲からも何度も勇気をもらってきた。こうして十数年の時を経て、このDaisyBarでこの二人の演奏でこの曲を聴くというのは、時間の連なりも含め、感無量だった。ありきたりな言葉になってしまうけど、唄、ポップミュージックの力を思いきり実感したハッピーな一夜だった。出演者、お客さん含め、お互いの歩んできた日々が、この日ここDaisyBarでクロスオバーして出来上がった結果がこの素晴らしい夜だった、そういう事だと思う。なんにつけても終わりも来るし、人間は必ず死ぬんだけど、だからこその今があって、その今をどれだけ軽やかにステップを踏めるかだし、歩いているウチは終わらない。個人的にはそんな事もあらためて思った。(加)