DaisyBar Count Down Special
“mirrorball yearend2020→
Power to the people 2021”

例年であれば、年を跨ぐCOUNT DOWNを行い、バンドの演奏と共に新年を迎えるDaisyBarの大晦日。2020年、残念ながら、日付を越える時間帯までのライブ開催も難しい状況となり、21:00には終演というタイムスケジュール。まず1組目登場は、極東飯店。初ライブ前から、ネット上にあがった音源が、耳の早いリスナーに届きだし、注目を集めだした。ここ1、2年で、90年代のオルタナ、インディロックの影響下にあるバンドが増えてきたと感じるのだけれど(そして、これまたカッコイイバンドが多い)、そんななか、90年代、更にはゼロ年代のThe Libertines、The Strokesと言ったバンドも想起させるサウンドで、新たな世代から登場した彼等。前回出演したDaisyBarでのライブが初ライブ。そして、この大晦日が2度目のライブ。まだ、楽曲やバンドのアイデアをライブに落とし込めていない部分もあるけれど、一気にロックスター感も増したライブで、インディロック第三世代の出現を充分に予感させた。そして2組目、フェルン=ヴェーズ。2020年を1月のここDaisyBarでの自主企画でスタートさせ、その後、メンバーチェンジなどを経ながらも、コンスタントにライブを積み重ねてきた。思えば、緊急事態宣言明け、お客さんを入れてのライブ再開初日のライブにも出演してくれた。そうした周りからは困難な状況に見える様ななかでもマイペースで淡々と活動している様にもみえる。しかしその飄々とした平熱なモードのなかから放つサウンドは荒寥としていて熱い。この日は、新ドラマーを迎え更にタイトになりポップさと凶暴さを増し、2021年に向けて更に期待が膨らむパフォーマンスを見せてくれた。続いて登場は、SENSHO1500。ハードロックブルーズバンドThe JFKのフロントマン。2020年残念ながらThe JFKでの出演はなかったけれど、ソロでは毎月の様に出演。バスドラを中央に置き、時にギターを弾きながらバスドラを踏みブルーズを奏で、またスライドギターを多様したり、リズムマシーンの規則的なリズムに合わせての演奏だったり、彼の詩人ぶりも存分に味わえるラップだったりを織り交ぜながら、ブルーズが会場を呑み込んで行く。終盤に向け更にGROOVEを加速させる圧倒的なパフォーマンスで、見事会場を一体化させ、彼の凄みを存分に見せてくれた。そして、登場は、恵守佑太。彼がボーカルギターを務めるThe Doggy Paddleが、11月活動休止に。その活動休止ラストライブもここDaisyBarで行われ、その際彼が、ロックンロールは続いて行くといった様なMCをしていて、グッときてしてしまったのだけれど、それを自ら証明する様なライブ。アコースティックギターを抱えての弾き語りではあるけれど、やはり、言葉やビートがロックンロール。バンドと平行してもソロで弾き語りをしていたけれど、明らかにバンドがあった時とは違った一人でもやって行くという意志がしっかりと伝わってくる。MCはいつも通りのエモリ節ではあったけれど更なる熱と進化を増したライブだった。そしてトリを勤めるのはThe holy’s。DaisyBar2020年の締めは彼等に。フロアーのお客さんも更に増えたなか登場。2020年3月のDaisyBar15周年に予定していた錚々たるメンツを集めた自主企画も開催を見合わせざるえなかったり、なかなか思う様に活動できなかった一年ではあったと思う。それでも毎月のようにDaisyBarに出演し、ステージから熱を発し続けてくれた。90年代のUKインディロックサウンドを基調にしながらも、10年代のインディロックにもきちんと目配せされた楽曲。それを、ライブハウスで鍛え上げられた演奏でしっかり叩き出し、ライブならではのフィジカルとGROOVEを感じさせてくれるパフォーマンス。そんな何度となく見てきた、いつもの彼等ではあったけれど、やはり、この2020年の締めという意気込みもヒシヒシと伝わってきた。そして、その一年の締めに相応しい、圧巻の感動的なライブだった。当然の様にアンコールの拍手も起こり、見事、様々なことがあった一年を締め括ってくれた。誰もの記憶に残るであろう2020年。こうしたなか、大晦日まで、ライブを開催し続ける事ができた事は、本当に感謝しかない。本当に多くの人に支えられることを実感した一年でもあった。そして、当り前にライブを行うことの贅沢さと、大切さといった事もあらためて実感した、そんな年の瀬のライブだった。(加)