【生配信ライブ】無観客プレミアLIVE配信“パイン vol.9”

この日はオレンジスパイニクラブの配信オンリーでのワンマン。彼等にとっても初の試み。そして彼等もライブの中止や延期なども重なって久々のライブ。DaisyBarでは、2月にツアーの初日をソールドアウトさせて以来。そう考えると、何か遠くに来てしまったような気にもなるけれど、こうやって久々にオレンジスパイニクラブが配信という形ではあるけれど、ライブを行う姿でリスナーの前に戻って来てくれた事は嬉しい限り。配信チケットもDaisyBarのキャパの遥か上を行く多くの方に購入していただいた(それでもSOLDOUTがないのが配信ライブのよい所)。それだけ、彼等を待ち望んでたリスナーも多かったという事。そして、最近ではすっかりチケットも取りにくくなって来た彼等のライブに触れる新たな機会にもなったのかとも思う。という事で、私もみなさんと同じく配信にて、彼等のライブを観る事に。配信オンリー、来場客無しという事で、アンプ、ドラムセット等、機材を客席に降ろし、メンバーがフロアーの中心に向かって円を描いて、各自の顔が見えるような立ち位置でスタンバイ。そして、照明は、色はつけず生灯りのみ。黒いDaisyBarの壁とメンバーと、彼等を照らす生灯り。少し普段のDaisyBarとは違った顔を見た気にもなり、彼等のプライベートな空間に紛れ込んでしまった様な感覚にもなった。そこから披露され、発信されるオレンジスパイニクラブの楽曲。パーソナルな、自分の周辺、半径5mで起こる事に精一杯な私の物語。あなたはいるけどその距離感をはかりかねている、そんな物語。そして彼等の凄い所は、そのパーソナルな物語を、しっかりとロックンロール、ポップの偉大なお手本を踏襲しながら、彼等自身のポップに昇華してゆく所。そしてリスナーが、私の物語として聴けるところ。それがポップであるという事でもありロックンロールのパワーでもあると思うんだけど、そのパワーをしっかりと持つバンドなんだとあらためて思った。彼等の曲を聴いているとこっちもかなりエグられる所も多い。自分の複雑さ、というか、あなたと私の複雑さを単純化させず、きめ細かに、シンプルな言葉で表現する。そうした音楽的、言葉的なボキャブラリーの豊富さで、こちらにグイっと語りかけてくる。普段のライブとはまた違った目線や、角度で彼等の表情や、演奏を観られたことで、こちらもそうした彼等の魅力を再発見できた気もする。この日のDaisyBarのシチュエーションにもハマって、それがよい意味でリアルに伝わってきた。そして、持ち前のバンドとしてのグルーヴ感も十分に発揮し、ライブバンドとしてのカッコ良さも十分見せてくれた。画面越しでも身体を揺らしたリスナーも多かった筈。こういうバンドが、ライブハウスにいてくれるのは嬉しいし、更にヒットチャートを賑わせてくれたなら本当に嬉しい。そして、また早くライブハウスに早く戻って来てもらって、豊かな時間を多くの人共有したいとあらためて思った。(加)