消えないための方法

未完成VS新世界、2009年に発売された音源と共に、北海道から東京のインディシーンのど真ん中に凄い勢いで現れた。その2009年に音源を聴いて、即声をかけてDaisyBarに出演してもらい、そこから何度か出演してもらっていたのだけれど、このバンドかなり紆余曲折あるバンドで、もう、どの辺りで、どんなんだったか、いろいろありすぎたり、暫くDaisyBarにも出演していなかった期間もあったりで、把握できてない所も多いのだけど。そして2013年に新しい音源をリリースしたのを機にまた活動が活発化し、その2013年あたりが、一番よく出演してくれていた。その2013年末のカウントダウンイベントにも出てもらっていたのだけれど、年が明けてからは、なかなか動きが見えず、結局なんやかんやで2014年 に解散を発表。その解散ライブが2015年2月28日、ここDaisyBarで行われた。超満員で、熱気が凄かったのは憶えている。そして約2年半経って再結成と言う話が飛び込んで来た。そしてその再結成ライブの場所として、彼等が解散した場所でもあるここDaisyBarを選んでくれた。彼等のDaisyBarでのライブの本数は、ずば抜けて多かった訳でもないのだけれど、そうやって重要なライブをここDaisyBarで行ってきてくれていると言うのは本当に嬉しい。そして2年半という空白の期間があったにも関わらず、チケットは見事ソールドアウト。それだけ多くの人達が待っていたと言うことで、凄い事だと思う。そして当日。ソールドアウトと言う事で、開演前には、もうかなりの人でフロアーが埋めつくされていた。そしてまず登場し たのは、それでも世界が続くなら。彼等もかなり久々のDaisyBar。暗闇にうっすら浮かぶ彼等の姿、怒濤のオルタナシューゲーズサウンドに、強力な言葉と音の洪水。彼等と始めて会ったのは6年位前だったと思うけれど、音も言葉も更に研ぎ澄まされていた。そして、その芯のブレて無さ加減に圧倒された。MCでしの君が、バンド続けるのに意味なんてない的な事を言っていて、一廻りしてそこに意味を持たせてしまう面倒くささも含めブレてないし、彼等(未完成VS新世界含め)は、やり続ける人達なんだな、とも思った。二番手は、シュリスペイロフ 宮本英一と澁谷悠希の二人でのアコースティック編成。未完成VS新世界の解散ライブにも出演したシュリスペイロフ。この日は急遽二人での出演となったが、二人ならではのエレキギターとアコースティックギターの絡みなどもじっくり聴かせ、そこに彼等の唄が乗り、アコースティックならではの表情豊かなパフォーマンスを見せてくれ、満員のお客さんもしっかり聴き入っていた。MC含め、未完成VS新世界に対する愛情も全面的に感じた。そしてトリで登場は勿論未完成VS新世界。一曲目から、会場から彼等を待ちわびた熱気が伝わって来る。新たにキーボードも加わった事で楽曲が良い意味での軽やかさも帯びている。新曲も2曲披露。本編6曲の内2曲が新曲というのは、只、昔の曲をやる為だけの再結成ではなく 、現在進行形である事の宣言の様にも思えた。そして、本編ラストも圧巻。もう全くブランクのあるバンドとは思えないパフォーマンスを見せてくれた。アンコール前にベース安田が即興で唄を披露したり、アットホームなムードを作り出したりする場面も。名曲「スピッツの言いなり」のイントロが聞こえてくると、会場の熱も再び上がり、最後は企画のタイトルでもある「消えない為の方法」で締め、見事な復活ぶりを見せつけた。再び動き出した彼等は、肩の力も程よく脱けつつも、その分、瞬間的な殺傷能力が上がっている様な、そんな年輪を重ねたからこその鋭さも兼ね備えていた。そんな彼等が、またどんな刺激を与えてくれるのか楽しみになった。(加)